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豪ドルで大損しないために!インフレリスクや豪中銀の動向、今後の相場の見通しを解説
目次
豪ドルの概要と特性
オーストラリアドル(通称「豪ドル」)は、世界的に活発な取引が行われている主要通貨の一つです。オーストラリアの国家通貨である豪ドルは、BIS(国際決済銀行)の調査によると、世界の外国為替取引高で6位にランクインする取引量を誇ります。このように流動性が高く、幅広く取り扱われている理由として、以下の3つの特性が挙げられます。
1. 高金利通貨
オーストラリア準備銀行(RBA)が運営する金融政策の影響で、豪ドルは比較的高い水準の金利が付与される「高金利通貨」に位置づけられています。2024年4月時点のRBAの政策金利は4.35%と、米国(5.5%)に次ぐ高水準にあります。このため、スワップポイント(金利収入)を狙った取引に適した通貨だと評価されています。
2. 資源国通貨の性格
オーストラリアは鉄鉱石、石炭、天然ガスなどの天然資源が豊富で、これらの輸出が同国経済を支える主要な柱となっています。このため、豪ドルの価値は資源価格の動向に大きく影響を受けがちです。資源価格の上昇は豪ドル高をもたらす一方、下落は豪ドル安の要因となります。
3. リスクオン通貨としての側面
投資家のリスク選好度の高まりとともに豪ドルの需要が増す傾向があり、リスクオン通貨の性格を持っています。世界的な景気回復期には資源価格の上昇が期待されるため、豪ドル買いが進みやすくなるのです。逆にリスクオフ傾向が強まれば、豪ドルは売られがちになります。
豪ドル相場に影響を与える主要因
上記の特性から分かるように、豪ドルの為替相場は内外の経済動向によって大きな影響を受けやすい通貨です。主な相場変動要因を押さえておくことが、豪ドル取引における大損リスクを低減する上で重要になります。
1. 地政学的リスク
資源国通貨である豪ドルは、地政学的リスクの高まりによって大きな打撃を被る可能性があります。中東や東欧での紛争など、資源の供給網に影響が及ぶ事態が発生すれば、資源価格の高騰や需給ひっ迫を通じて豪ドル高が進行しかねません。
2. RBAの金融政策
豪ドルの価値は、発券銀行であるRBAの金融政策の影響を直接的に受けます。政策金利の引き上げが豪ドル高を招く一方、利下げは豪ドル安の要因となります。RBAはインフレ抑制を目的に2022年5月以降、9回連続の利上げを実施しており、今後の金融政策運営次第では、豪ドルの方向性が大きく変わる可能性があります。
3. 経済指標の動向
雇用統計や消費者物価指数(CPI)など、オーストラリアの主要経済指標の動きも、豪ドル相場に大きな影響を与えます。特に、オーストラリアの主要な貿易相手国である中国の経済指標にも注意が必要です。中国景気の後退が懸念されれば、豪ドルは売り込まれがちになるためです。
4. 資源価格の変動
鉄鉱石や原油など、オーストラリアの主力輸出資源の価格変動は、豪ドルの値動きを直接的に左右します。資源価格の上昇は豪ドル高要因に、下落は豪ドル安要因になるため、常に最新の資源相場を意識する必要があります。
豪ドルの歴史的な値動きと要因
過去の豪ドル相場を振り返ることで、上記の変動要因がどのように作用してきたのかを確認できます。主な出来事と豪ドルの反応を時系列で追っていきましょう。
2007年: 高金利と資源ブームで107円台に
- 2007年5月、豪ドル相場は9年ぶり高値の107.82円を記録しました。
- 要因は、オーストラリアの財政健全化と低失業率、RBAによる利上げ路線(政策金利6.75%)などでした。
- 資源国としての恩恵を受け、資源価格の上昇も豪ドル高を後押ししました。
2008年: リーマンショックで50円台に暴落
- 2008年9月のリーマンショック発生を受け、豪ドルは100円台から一気に50円台まで下落しました。
- 世界的な金融危機と景気後退への警戒感から、リスクオフの動きが加速したためです。
- しかし、2009年以降は中国の景気対策による資源需要の高まりなどで徐々に持ち直しました。
2013年: 日銀のアベノミクスで上昇
- 2013年頃から、日本銀行によるアベノミクス(金融緩和)の影響で円安が進行しました。
- これに伴い、対円での豪ドル相場は上昇基調となりました。
- 日本の株高・経済成長期待から、リスクオン傾向が強まったことも豪ドル高の一因でした。
2015年: 中国景気減速で一時下落
- 2015年、中国経済の失速が意識され始めると、豪ドル相場は10円以上下落しました。
- オーストラリアの最大の貿易相手国である中国の景気減速は、豪経済への影響が危惧されたためです。
- 資源価格の下落や中国の資源需要の低迷なども、豪ドル安の背景にありました。
2022年: ウクライナ情勢でユーロ安対応で上昇
- ロシアのウクライナ侵攻を受け、ユーロ圏の地政学的リスクが高まりました。
- その結果、ユーロ安が進行する一方で、遠隔地のオーストラリア通貨である豪ドルが買われました。
- 戦争に伴う資源高の影響で、資源国通貨としての豪ドルの需要が増したことも要因でした。
豪ドル相場の今後の見通し
2024年の展望: 上値は重く、下値は堅そう
2024年の豪ドル相場は、上値の重い展開が予想されます。RBAの利上げ路線に一服感が出てきたことに加え、世界的な景気減速への警戒感からリスクオフ傾向が意識されやすくなっているためです。
一方で下値は比較的堅そうです。オーストラリア経済の底堅さと、RBAの政策金利がなお高水準にあることから、豪ドルの下支え材料になると考えられます。高値と安値のレンジは、1豪ドル95~105円程度が想定されます。
もっとも、豪ドルの値動きは世界的な資源需給や地政学的リスクの動向次第で、大きく変わる可能性もあります。主要国の金融政策や経済指標、地政学リスクの行方にも注視が必要です。
豪ドル取引のポイント
- 資源価格の動向に留意し、上昇トレンドの場合は買い、下落トレンドなら売りを検討する
- 主要経済指標(雇用統計、CPIなど)の発表前後は慎重に
- 地政学リスクの高まりが見られれば豪ドル売りを
- RBAの金融政策方針の変更に注目
- 中国経済の減速が意識されれば豪ドル売り
豪ドルは様々な要因で大きく変動する可能性があり、一朝一夕には扱えない通貨です。上記のポイントを意識しながら、中長期的な視点で取り組むことが賢明でしょう。
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