ピップ価値の基礎 取引前に損益・リスクを数字で確定する
口座通貨・クロス通貨の換算、ピペット5桁表示まで対応。取引前に1ピップいくらかを確認し、ロットとリスクを正確に決めるための基礎をまとめました。
目次
30秒で理解:ピップ価値とは
ピップ価値は「1ピップ動いたとき、口座の損益がいくら動くか」を示します。
- 通貨ペア、ロット、口座通貨で変わる
- 取引前に「1ピップいくらか」を確定すると損失が読める
- 計算機を使えば自動で正確に算出できる
ピップとは何か、なぜ重要なのか
ピップ(Percentage in Point)は通貨ペアにおける最小価格変動単位です。主要通貨ペアの多くでは、 ピップは小数点第4位(0.0001)となります。ピップ価値を理解することは重要です。市場が有利方向または不利方向に 動いた際に、各ピップごとにどれだけの損益が発生するかを決定するためです。
多くのトレーダーはエントリーとエグジットポイントに注目しますが、ピップ価値を無視します。 これによりリスク管理が不十分となり、予想外の損失が発生します。取引にエントリーする前に ピップ価値を把握することは、適切なポジションサイジングのために必須です。
ピップとポイント(ピペット)の違い
多くのFX通貨ペアは、価格が小数点第5位まで表示されます(MT4/MT5でよく見る形式)。
- • ピップ:一般的な1pip(通常は小数点第4位:0.0001)
- • ピペット:0.1pip(5桁/3桁表示の追加桁)。小数点第5位(0.00001)または円ペアでは第3位(0.001)
円ペアは例外です。
- • 円ペアのピップ:0.01(小数点第2位)
- • 円ペアのピペット:0.001(小数点第3位)
迷ったら「取引画面の最小変動(ポイント)」ではなく、「一般に言う1ピップ」を基準に計算します。
MT4/MT5では5桁表示(ピペット)が使われることがあります。取引画面の表示や設定はMT4(メタトレーダー4)の使い方とダウンロードやMT5(メタトレーダー5)の使い方とダウンロードも参考にしてください。
ピップ価値の計算方法
ピップ価値は、基本的に次の考え方で求めます。
ステップ1:まず「クォート通貨でのピップ価値」を出す
クォート通貨でのピップ価値
= ピップサイズ × 取引数量(通貨単位)
例:EUR/USD を 1スタンダードロット(100,000)
- • ピップサイズ:0.0001
- • 0.0001 × 100,000 = 10 USD
この時点で「1ピップ = 10ドル」です(USDがクォート通貨なのでそのまま口座に反映されます)。
ステップ2:口座通貨が違うなら換算する
口座通貨がクォート通貨と違う場合は、最後に換算します。
口座通貨でのピップ価値
= クォート通貨でのピップ価値 ÷(口座通貨/クォート通貨のレート)
または
= クォート通貨でのピップ価値 ×(クォート通貨/口座通貨のレート)
どっちを使うかは、手元にあるレート表示に合わせればOKです。
例1:EUR/USD
ペア: EUR/USD 1.1000
取引サイズ: 100,000単位(1スタンダードロット)
ピップサイズ: 0.0001
口座通貨: USD
ピップ価値 = (0.0001 × 100,000) ÷ 1 = $10
例2:GBP/JPY(USD口座の例)
ペア: GBP/JPY 150.00
取引サイズ: 100,000(1スタンダードロット)
ピップサイズ: 0.01(円ペア)
口座通貨: USD
1. まずクォート通貨(JPY)でのピップ価値
0.01 × 100,000 = 1,000 JPY
2. USD口座に換算(例:USD/JPY = 150.00 の場合)
1,000 ÷ 150.00 = 約 $6.67
結論: 1ピップ ≈ $6.67
ポイント:最後は JPY→USD の換算(USD/JPY) を使います。GBP/JPYのレートを直接使うのではありません。
リアルタイムレートの確認
ピップ価値はレートで変わります。特に USD/JPY、クロス通貨、口座通貨がUSD以外 の場合は差が出やすいです。
- 取引直前にWebTraderで現在レートを確認(日本語UIでも利用可能)
- 計算してから時間が空いたら、もう一度計算する
ビッド/アスクレートについて
換算レートにはBid(売値)とAsk(買値)があります。厳密にやるなら約定側(買いならAsk、売りならBid)を使いますが、迷うなら計算機を使うか、中間レート(mid)で概算するのが実用的です。
クロス通貨ペアの換算(例:EUR/GBP)
前提: EUR/GBP 0.8500、1ロット(100,000 EUR)、ピップサイズ 0.0001
1. クォート通貨(GBP)でのピップ価値
0.0001 × 100,000 = 10 GBP
パターンA:GBP/JPYがある(JPY口座ならこれが一番ラク)
10 GBP ×(GBP/JPY)= JPY換算
パターンB:直ペアがなく、2段階換算する
10 GBP → USD(GBP/USD)→ JPY(USD/JPY)
この形でもOK。要は「最後に口座通貨へそろえる」だけです。
口座通貨の影響
ピップ価値は口座通貨によって変わります。USD口座でEUR/USDを取引する場合、 計算はシンプルです。しかし口座がEUR、GBP、またはその他の通貨の場合、 追加の換算ステップが必要になります。手動計算が複雑な場合は、ピップ価値計算機を活用してください。
ロットサイズとその影響
| ロットタイプ | 単位 | EUR/USD ピップ価値 | リスク例 |
|---|---|---|---|
| スタンダードロット | 100,000 | $10 | 50ピップSL = $500リスク |
| ミニロット | 10,000 | $1 | 50ピップSL = $50リスク |
| マイクロロット | 1,000 | $0.10 | 50ピップSL = $5リスク |
| ナノロット | 100 | $0.01 | 50ピップSL = $0.50リスク |
スプレッドは"ピップ価値"ではなく"コスト"
スプレッドはピップ価値を変えません。ただし、取引はスプレッド分だけ不利な位置から始まるので、損益やリスクを見積もるときは「実質コスト」として意識してください。
リスク管理との統合
ピップ価値が分かると、ロットは逆算できます。
ポジションサイズ(ロット)
ポジションサイズ = リスク額 ÷(ストップロス幅(pips) × 1ピップの価値)
例:USD口座、リスク $100、SL 50pips、1pip = $10
$100 ÷(50 × $10)= 0.2ロット
よくあるピップ価値の間違い
間違い1:円ペアの見落とし
円ペア(USD/JPY、EUR/JPYなど)は小数点第2位を使用します。第4位ではありません。ピップは0.01であり、0.0001ではありません。
間違い2:口座通貨の見落とし
GBP口座でEUR/USDを取引していますか?ピップ価値をUSDからGBPに換算する必要があります。
間違い3:ロットサイズの確認漏れ
実際にはミニロットで取引しているにもかかわらず、スタンダードロットで取引していると想定すると、 10倍の計算誤差が発生します。
間違い4:固定$10/ピップの仮定
USD口座でUSDがクォート通貨の場合のみ$10/ピップです。USD/JPYやクロス通貨ペアでは異なります。
間違い5:レート変動の無視
為替レートは常に変動しています。計算後時間が経過した場合は再計算が必要です。
実践的な取引への応用
実際の取引シナリオ
設定: EUR/USD取引で$100のリスクを取りたい場合
ストップロス: エントリーから50ピップ
口座: $10,000 USD
質問: どのロットサイズで取引すべきか?
解決方法:
ポジションサイズ = $100 ÷(50ピップ × $10/ピップ)
= 0.2ロット
これは20,000単位(2ミニロット)の取引を意味します
クイックリファレンス
| 通貨ペアタイプ | 1ロット(100,000)でのピップ価値 | 備考 |
|---|---|---|
| XXX/USD | 約 $10/pip | USD口座の場合 |
| USD/XXX | レートで変動 | USD/JPYは約 $6.67/pip(USD/JPY=150の場合) |
| XXX/JPY | 0.01(JPY換算) | JPY口座ならそのまま、他通貨口座なら換算が必要 |
| クロス通貨 | 換算が必要 | EUR/GBPなど、口座通貨への換算が必要 |
注意:このガイドはFXの通貨ペア向けです。貴金属や指数は銘柄仕様で最小変動が異なる場合があります。
ピップ価値をマスターする
ピップ価値を理解することは成功した取引の基礎となります。適切なポジションサイジングと リスク管理と組み合わせることで、この知識は利益を生み出す取引戦略の基盤となります。